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Happy Halloween!!(ちょっと早かった)

近頃は日本でもハロウィーンが浸透してきたようで、子供がお菓子をもらいに家々を渡り歩く……というよりは大人が仮装して集まるお祭り(もしくは集会、はたまた勝手に特定の場所に集まるだけの会……?)が、10月の終わりごろに催されることが増えてきました。
「どうしよう、今年のハロウィーンの仮想の準備が全然終わっていない!!」「人とは違うちょっと変わった仮装をしてみたいけれど、時間にも費用にも余裕がない……」というそこのあなたに朗報です!!! 大きな布さえあれば、所要時間5分程度で、だれでも、簡単に、古代ギリシア人の仮装ができてしまうのです!!!

というわけで、今回のコラムは、実践! 古代ギリシアの衣服いろいろ(女性編) です!

古代ギリシアの衣服というと、ギリシア彫刻が纏っている、あのひらひらした布っぽい服をみなさん思い浮かべると思います。はい。その通り、布です。多少縫うこともありますが、基本的に、ただの、一枚の布で古代ギリシアの衣服は作ることができます。

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これが基本の「ドーリス式キトーン」の着方です。布の大きさは身長や、出したいドレープの数によって調節してください。ディプロイス(折り込み)無しならば布の縦幅(布屋さんで布を選ぶときに見るポイントの巾)はそんなに必要ありません。ひだをたくさん出したい場合は、横幅(長さ)を多くとるとよいでしょう。
小さな手芸屋さんでは巾90~110cm程度の布が一般的に売られていると思いますが、問屋街にいったり、大きな通販サイトなどで見ると、巾170なんて布もあったりします。

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これは発展形の「イオニア式キトーン」。ちょっと縫い仕事がありますが、手縫いでも数十分で終わります。(縫わなくても安全ピンでとめるだけで出来ちゃう!)肩口~二の腕のあたりをいくつもブローチで止めて、ところどころ肌がのぞくとちょっとゴージャスです。

以上、二通りを押さえておけば、おうちにあるベッドシーツなどですぐに古代ギリシア人ごっこができてしまいます!!!

 

◆布の種類

さて、着方の次に、布地についてです。古代ギリシアの人々は羊毛で織った布か麻布(稀にシルク)をまとっていたそうですが、幸いにも現代に生きる私たちには選択肢がたくさんあります。
「せっかくなら、ギリシア彫刻や壺絵で描かれているような、ドレープたっぷりのキトーンを纏いたい! だったらやっぱり古代の人々が来ていた布……羊毛か麻(リネン)かな♪」というそこのあなた!
残念ながらあのドレープはなかなか出ません(悲しみ)

いったい何をどうしたらこういうドレープになるの??? この薄さは何……???? という謎布をギリシア彫刻の方々、とくに神々はお召しになっていますが、これはリネンやウールだと難しい。シルクだといい線行くけれどでもやっぱり違う……(それに高い)。でもやっぱりいっぱいドレープ出したいよね……細かいドレープを作って縫っておけば出ないこともないけれど……(でも彫刻のお洋服をみても、襟のところなどで塗っているようすはあまり見られない)

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そんなわけで、できればドレープをたくさんつくりたい!でも楽をしたい!という気持ちに応えてくれる、おすすめの布をご紹介します。

・うすーい天竺綿(安くてよい)
・服の裏地に使うてろてろの安い布
・やわらかいフレンチリネン

 

薄い天竺木綿は、彫刻というよりも、ブグローの絵に描かれる布のような質感が出ます。
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シンプルなドーリス式キトーンなどに映えます。

 

裏地用のテロテロの布(ポリエステルとか。シルウェーブが好き)は薄い!安い!しわになりにくくて軽い!そしてドレープがきれいに出る!!!立ってしまうとドレープ感はそれなりなのですが、座ったり動いたりするときにきれいなひだができます。
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上にジョーゼットやオーガンジーを重ねるときれいです。神様の仮装におすすめ。

 

フレンチリネンは、暖かくて肌触りがよく、しっとりした感じになります。やわらかくてひだの出やすいものを買おうとするとまあまあのお値段になってしまいますが、纏う時のときめきは何物にも代えられません。白い色もよいですが、赤や紫、黄色などのきれいな色のものが映えると個人的に思っています。

薄い布は透けるので、下にスリップやキャミワンピなどを着て透け対策をしましょう。肩の部分の布をあらかじめ安全ピンでとめておいて、まとった後に肩紐と一緒にきれいなブローチでまとめて留めておくと、肩の位置で布が安定します。

このほかにも、わたしはオカダヤで投げ売りされていたセール品のよくわからない合成繊維の白い布などを重宝しています(柔らかくてそれなりに厚みがあって、光沢もあり、何より透けない)。

 

◆では、実際に布をまとって、古代ギリシアの神様の仮装をしてみましょう!!!!

1. アルテミス女神
難易度☆
簡単かつすぐにそれっぽくなります!!!
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(モデル:たんざわ)
使用した布は、先ほど言ったオカダヤセール品(150×150)、ふちに金色のリボンを雑に縫い付けています。折り返しの部分を広く取り、ひざ上丈にして、ドーリス式の着方でまといます。腰ひもは金色のツイストコード編み上げサンダルを履いて、髪をまとめて金色のリボンを頭のハチにぐるっとまけばもうあなたは狩猟と山野の女神、アルテミスです。矢筒と弓矢があればなおそれっぽいのですが、なければアルテミスっぽく、背中から矢を引き抜くようなポーズでごまかしましょう。傍らには鹿がいるイメージで。
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はい!!!!!アルテミスですね!!!!!!
短め丈なら、幅のあまりない布でも大丈夫です。ただ秋口には寒いかもしれませんので、室内のパーティーでの仮装にお勧めです。

 

2. ペルセポネー女神
難易度☆☆
小道具がちょっと必要になるぞ!
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(モデル:たんざわ)

使用した布は黒のジョーゼット。130×400ほど。下には黒のキャミソールワンピースを着ています。黒くてよく見えませんが、ジョーゼットだとひだがたーくさん出て、彫刻のあの柔らかなドレープに近づきます。これはイオニア式の着方です。
冥界の女王ペルセポネー女神といえば、スイセンとザクロ! というわけで、頭に黒い布(家にあった無印良品のストール……本当は黒のチュールがほしかった)をかけてからスイセンの造花を冠に戴き、手にはザクロの果実を。(そして、イラクリオン考古学博物館のペルセポネー女神の彫刻が好きなので、これをイメージして手にはセイストロンという楽器を持たせました。なくても問題ありません……)

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3. アルカイック期のコレー
難易度☆☆☆
お裁縫が必要になるぞ!!

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(モデル:ふたば)

アルカイック期のコレー(少女)像の来ている変形ヒマティオン(上着)が着たい~~!!! と思ってお裁縫しました。とても簡単です。
作り方はこんな感じ。(布はシルク(ちりめん)を使用していますが、やわらかい布ならなんでもいいと思います)

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ふつう、ヒマティオンというと、大きな布をぐるっと体にまくだけの上着ですが、これって抑えていないとすぐに脱げちゃうし、動きづらいんですよね。しかし、このちょっと手を加えたヒマティオンならこの通り!バッケー(ディオニューソスの信女)ちゃんも思う存分踊れます。

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どんなに激しく太鼓をたたいても安心!!!

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とりあえず、ペルセポネー女神さまを讃えました

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いかがでしたか? 工夫次第で、ただの布(もしくはその布をまっすぐ縫ったもの)で楽しく古代ギリシアごっこができてしまうのです!! みなさんもぜひぜひ試してみてください。
それではχαίρετε(ごきげんよう)! ふたばでした。

 

(こんな風なコスチュームプレイではないけれど、『ひとりギリシア悲劇 コエーポロイ』の上演は11月11日・12日!ぜひぜひ足をお運びください。ご予約お待ちしております)

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